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by burari-skuri

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世界最大のITベンダーIBM

世界最大のコンピュータ・メーカーIBMは80年の歴史をもっていますが、この間、コンピュータの前身であるPCS(Punched Card System=鑽孔カード・システム、すなわち電気式統計会計機)産業、電子計算機産業を創造しました。大まかに区切ると、PCS産業の時代は30年、電子計算機産業の時代は50年続きました。

いまも電子計算機の時代は続いているのですが、使われ方がまったく変わろうとしています。IBMは、過去13年間の自己改革によって、新しい機能を備えたコンピュータ・システムを製造し、新しい使い方をする方法を提案する世界最大のIT(Information Technology=情報技術)企業として、まったく生まれ変わりました。つまり、1993年から2005年にかけて、「アメリカの宝」と言われるIBMは経営危機に陥っており、この経営危機を救うために外部から名経営者ルー・ガースナーがCEO(最高経営責任者)に就任して10年にわたる徹底的な自己改革を行い、彼は生え抜きのパルミサーノを後継者に指名し、パルミサーノは次の世代のコンピュータ利用法の総仕上げを行い、地球上で並ぶ企業なきITインフラストラクチャー兼ソリューション提案企業(IT基盤を売り、かつ問題解決策を提案する企業)に生まれ変わりました。

ガースナーが10年間にどうやって巨人IBMを改革したかは、長くなるのでここでは書きません。もしご興味がある読者は、ガースナー自身が書いた「巨象も踊る」(日本経済新聞社から2004年暮に邦訳が出ています)を読まれることをお勧めします。拙著「カミングバックIBM」をお読みになってもその辺のことが書いてあります。

これからの使い方オン・デマンド・コンピューティング

では新生IBMは、どういう次世代のコンピュータの使い方を、世界のITベンダーに先駆けて提案し、供給しようというのでしょうか?

「オン・デマンド・コンピューティング」とは、「コンピュータを使う人の要求に応じて情報処理をする」ということです。インターネットが万人の道具となったおかげで、パソコンと電話線(もっと新しい使い方では、無線技術が浮上しています)さえあれば、いまや誰でも、いつでも、いながらにして、インターネットにアクセスし(接続し)欲しい情報を手に入れることができます。

しかし、実際にはどんな要求が来てもそれに応じられるわけではありません。世界のあらゆる人のあらゆる要求を、ひとつの巨大なネットワークで満たせるものではありません。オン・デマンド・コンピューティングの考え方は、「ならば、あるコンピュータのユーザー(利用者)の要求に応じられるデータベースにアクセスし情報処理を奉仕するコンピュータを探して接続し、データを加工したうえでモニターなりプリンターに出力するということです。

これを自動的に行うには、複雑で高度なソフトウェアの開発が必要です。そのうえ地球上で使われているコンピュータは、いろんなブランドのコンピュータがあり、それぞれの設計思想と生い立ちが違います。OS(オペレーティング・システム)と呼ばれるコンピュータをスムーズに動かす基本ソフトウェアも違っています。


オートノミック・コンピューティングとグリッド・コンピューティング
そこで、たとえ設計思想や生い立ちやOSが違っても、その違いを理解し、ブランドが違ってもコンピュータ同士で通信(やりとり)ができる「にかわ」のようなミドルウェアと呼ぶソフトウェアが必要になります。

さらにインターネットには、実にさまざまな、思いもよらないコンピュータがつながっています。こういう複雑な環境のなかで動かなくてはならないコンピュータは、自分自身で故障を検知し自己修復する機能や、どういう装置を接続し、その機能や設計思想を吸収し、それに応じた処理機能を提供できる自律性が必要です。IBMは、こういう機能を提供する処理環境を「オートノミック・コンピューティング=Autonomic Computing」と名づけました。

ほかのメーカーやソフトウェア会社も、大学などのアカデミックな世界でも進めていることですが、IBMが取り組んでいるもうひとつのコンピュータの使い方は、グリッド・コンピューティングと呼ばれる使い方です。

インターネットには何億台というパソコンがつながっています。人間の遺伝子の数はショウsジョウバエとjほぼ同じ2万ほどで解明されているのですが、遺伝子が形成しているタンパク質の折りたたみ構造はわかっておりません。それを解明するには、気の遠くなるような膨大な超高速計算が必要です。アメリカのエネルギー省は、IBMやクレイ・コンピュータに開発発注していますが、1台のコストはソフトウェアを含んで200億円以上もします。1台といっても、それらは数千個から数十万個のマイクロプロセッサーをつないだコンピュータです。

一方、そんなものすごいスーパーコンピュータをつくらなくても、インターネットにつながっている多数のパソコンはいつも計算しているのではなく、遊んでいるアイドル・タイムがあるのだから、必要なときに何十万台、何百万台というパソコンをシングル・システムとして動かして、スーパーコンピュータの役割を果たさせたらいいのではないか、という考え方もあって多くのプロジェクトが走っています。

IBMは、ソフトウェアを工夫すれば、究極的には電気やガスや水道のように、欲しいときに自由にネットワーク上のコンピュータにアクセスして仕事をさせることを目標にしていると言っています。

IBM、今後5年間のアジェンダを発表

2005年には今後5年間に繰り出す製品のアジェンダ(方向性)を公表しました。すなわち、アジェンダの内容は、今後発売する製品はすべて①Virtuarization(仮想化)、②オープンネス(Openess=無料のオペレーティング・システムがかかる)、③コラボレーション(collaboration=顧客企業が欲するIT環境を実現するために、顧客企業と一緒になって考え、あるいは他のメーカーやソフトウェア会社とパートナーシップを組んで要求を実現する)という三つのことを約束したのです。

仮想化というのは、上述のようにすべての環境があらかじめわかっているわけではないので、こういうハードウェア環境に接続し、こういう複数の情報処理をするときは、メイン・メモリーを分割して同時に異なる処理を遂行するというふうに、その都度その都度直面する業務に対応して、処理を遂行できるように仕組みを仮想化(想定)しておくことをいいます。

オープンネスとは、全コンピュータ製品に無料のOSであるLINUXがかかる環境が実現できるようにして製品をうることです。そして各種の標準化団体の活動に積極的に参画することです。

コンピュータ・ハードウェアをみますと、IBMは、メインフレーム(大型サーバー)、iシリーズ(中・小型サーバー)、pシリーズ(UNIXサーバーおよびスーパーコンピュータ)、IBMブレード・センター(ブレード・サーバー)、xシリーズ(パソコン・シリーズでインテルのマイクロプロセッサー・チップとIBM開発のPOWERチップを搭載したものがある。上位パソコンはサーバーとして機能)を販売していますが、2005年2月から2006年2月にかけて、メインフレームz9(ジー・ナイン)、iシリーズはi5(ファイブ)シリーズ、pシリーズはp5(ファイブ)シリーズとラインアップを一新し、ブレード・サーバー、パソコン・シリーズ絶えず製品を拡充してきました。

2006年は他社を上回る成長を宣言

米IBMの100パーセント子会社日本IBMは、2月1日のi5シリーズ発表の記者会見の席上、システム製品事業担当執行役員渡辺朱美氏は、「2006年のシステム製品事業の目標は、第一にお客さまの満足度ナンバー・ワンの維持につとめ、第二に競合他社の伸びを上回る成長を遂げたいと考えております」と言い切っていました。

次世代のコンピュータの使い方の準備ができたというわけです。
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by burari-skuri | 2006-02-24 17:00 | ITトピックス