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by burari-skuri

論点4 iPOT大の箱に図書室が入る-IBMが原子の磁気方異性を利用

原子に方異性をもたせたことで小空間の情報の蓄積量が飛躍的に増大

 IBMはナノテクノロジー(10億分の何メートルといった)微細なテクノロジーをリードし、歴史のところで述べるように、世界最小の企業ロゴを原子に書いたことで知られる。次の組織化コンポーネントができあがると、映像情報量にして約3万本の長編映画がスッポリ入ってしまう。本にすれば、学校の図書室が入ってしまう量だ。

 しかも、原子1個1個に磁気方異性をもたせているので(0か1かの表現、つまりデジタル表現ができるので、応用範囲が広い微細な体積に膨大な情報を収容できることになる。そういう状態が目の前に転がるようになると、人間は勉強するようになる。

 IBMがナノテクノロジーをリードしてきた大きな実績は、次のようである。

 ●1981年に走査型トンネル顕微鏡(STM)をIBMの科学者(のちにノーベル賞を受賞)が発   明、誘導基板上で個々の原子や分子10億分の何メートル単位の様子が容易に観測でき   るようになった。
 ●1986年にスタンフォード大学とIBMの科学者ら(のちにノーベル賞を受賞)が原子間力顕   微鏡(AFM)を発明、ナノサイエンスの有用な道具として短期間に実用化され、10億分の   何メートル単位の多目的イメージングと操作機能を提供するようになった。
 ●1989年にIBMフェローのドン・アイグラーが、初めて個々の原子を面上で制御可能な状態  でSTMを使い、35個のキセノン原子を配置して「I-B-M」とつづり、おそらく世界最小となる   企業ロゴを作成した。
 ●1996年にIBMの科学者によって、10個の原子を使った世界最小のそろばんが作成され、
  ナノ・スケールのエンジニアリングの重要なマイルストーンのひとつとなった。
●-中略-
 ●2006年にIBMリサーチ(同社の研究開発部門)研究員が今日のシリコン半導体よりも高   性能が見込まれる新物質単一「カーボンナノ・チューブ」分子をベースとする初の完全な電   子集積回路を構築した。この回路は標準半導体工程により構築されており、個々に構築さ   れたコンポーネントを結合するのではなく、回路の全コンポーネントのベースとして単一分子  を使用したものである。
 ●2007年には、初の「自己組織化」製造アプリケーションを実証した。
  
分子サイズのコンピュータの実現へ

 今度、科学雑誌「サイエンス」に発表された2番目の成果は、単一の分子の形を崩壊させることなく、分子で動くスイッチを開発した論文である。ということは今までは不可能であった分子サイズのコンピュータが実現し、スピードも情報蓄積量も飛躍的に上がり、しかも飛躍的省エネルギーを達成し、今まで存在しなかった装置に応用範囲が広がることを意味する。現在のスーパーコンピュータをもってしても解けない問題が解けることになる。

学校の図書室の本が小スペースに入ってしまうから本を読まないようではやっていかれなくなる

 今は若者の4割が本を読まないという。こう言う装置が出てくると、必ず勉強家が出てくる。少しばかり知識をもっていても、すぐに馬脚が現れてしまう。だから本を読むようになるだろう。
by burari-skuri | 2007-09-17 10:30 | 論点