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介護の現実を描きます。ITトピックスをお知らせします。旅と歴史を描いた私のHP「日本ぶらり歴史の旅」(英文もつくってあります)http://www.ab.auone-net.jp/~nut/にもぜひアクセスしてください。


by burari-skuri

論点1 インターネット社会の生産性、効率追求のいきつく先はこうなる

供給連鎖管理(CMR)を地球規模で行う

 世界最強のITインフラ提供企業IBMの2006年アニュアル・レポート(営業報告書)を仔細に読むと、ネット社会におけるグローバル企業の生産性、効率追求のいきつくところが見えてくる。つまり、グローバルな競争市場で生きてゆくには、企業自身が変身して、IT(Information Technology=情報技術)を地球規模で駆使し、SCM(Supply Chain Management=供給連鎖管理というソフトウェア技術)をフルに利用するように自己革新しなくてはならないことを意味する。コンピュータ業界では、最近、ICT(I & Communication T)という言葉が頻繁に使われだした。大事なことは、SCMを敏捷に行うことである。昨今のように人間の側で管理がたるんでいてはなんにもならない。


 ITとはInformation Technology、すなわち情報技術であって革新とか、発明ではない。これからの企業の成長エンジンはイノベーションとか、インベンションではないのであって、技術に移ってしまったのである。いままでは学説とか仮説を塗り変える発見や、画期的製品の発明があったのだが、企業の生産性追求を突きつめていくと地球的規模の生産性追求と資源の利用になるのである。ということから、画期的発見でもなく発明ではないので人間としては面白みがなく転職してゆく人も出るといいうことだ。いままでもIBMディプロマといわれるくらいIBMは転職して再度の挑戦をしている人々(有名な経営者)を輩出している。

 さて話を続けるとしよう。情報技術に、Communication Technologyが加わるわけだ。すでに進みつつあるが、半導体は情報処理を並列にやってのける個々のハードウェアの属性情報(例えばワイン自動販売機)までを含んだタグと呼ばれるシステム(センシング・システム)技術に適用がひろがりつつある。これによって例えばコカコーラはどこに置いてある自動販売機が最もよく売れ、在庫なしが生じて機会損失がないようにすることができるようになる(バーコードは値段情報を含むだけである)。

 ネット社会というものは、基本的に開放型であり、開放を実現する標準を守っていればどこのサーバーでもつながり、そのアプリケーションを実行できる世界であるから、基本的に中央集中型ではなくて、分散型なのである。だからコンピュータ・メーカーは著作権を主張しないLINUXと呼ばれる開放型のOS(オペレーティング・システム=コンピュータを動かすプログラム)につながる標準(コンセントのように差し込めば電気を使えるような規約)を守っている。

 したがって、安倍内閣のように中央集権的に改革をし、経済成長を進めていけば美しい日本がつくれるのではない。その国の文化を大事にしなければならない。田舎に行けば清々する田んぼがあり、そこにはまだおじいちゃん、おばあちゃんがまだ生きていて、細々と農業を守っているから田んぼがあるのだ。

 だが老いのため、あしたはどうなるかわからない。その火もこのままでは消えようとしている。すでに日本全国を見ても自然そのままの海岸線はない。コンクリートの道路が広がっている。「老が老を介護している現実」を偉い人々に見てもらいたい。地方分権への時代の風が吹き始まったのだから。

ITの最先端をゆくIBMの仮想化技術-3900台のサーバーがやってきた情報処理を向こう5年間に30台に統合

 IBM米国本社が8月1日に発表した仮想化技術はきわめて強力で、従来3900台のサーバーがやってきた情報処理を今後5年間とはいえ、たった30台のサーバーに統合、それまで3900台でやってきアプリケーションをやってしまうという。もちろん、それによって省力化できる部分はより高級な頭を使う労働ニーズが出てくると考えられる。

 IBMは自分のことを企業自己革新を助ける革新者(Innoovator's Innovator)と位置づけ、ユーザー企業の自己革新、地球規模の資源利用を助けつつあり、そこに成長エンジンを見出している。

 仮想化技術というのは、簡単に言えば次のようだ。いまの消費者がもっているパソコンは非常に強力だ。ソフトウェアがいくつも入っていていろんなアプリケーションをこなすことができる。なかでも重たい情報処理は写真を撮り送るということだ。いまでは携帯でさえ他人の携帯へそれを送ることができる。もしパソコンなら相当重たいことができる。仮想化メモリーとは、昔、「人工現実感」と言っていたが、まるでひとつひとつのアプリケーションのメモリー(記憶装置)がひとつひとつの手元にあるように感じるバーチュアル・リアリティと呼ぶ技術である。事実は手元にないから、カセット・テープ・レコーダーならその絵で表す。写真を送る場合はリムーバブル・ディスク・ボックスの絵で表す。

 個々のアプリケーションは、ネットにつながっているどこかのサーバーを使う個別のファイルとして使う技術である。これが仮想化なのである。個別の写真はファイルとしてのアイコンになる。

 IBMのグローバル・サービス部門では世界中のブロック、ブロックにサーバーを配置して、企業の自己革新を助けてきた。IBMが何台のサーバーを置いてユーザー企業の自己革新を手伝ってきたか知らないが、今度発表した仮想化技術は実に最大3900台のサーバーでやってきた情報処理をたった30台のサーバーでこなしてしまうというものである。

 IBMのユーザー企業はP&Gとか、トヨタというような大企業が多いからユーザー自身もサーバーを何台も配置している。ニーズはそれらのサーバーにも及ぶだろう。IBMはもちろん、仮想化技術がもたらす省力化、エネルギー節減効果は測り知れない。

 IBMが言及しているのは、これからはつなぎの技術という部品化現象が起こり、中小企業も売り込み先になっていくということである。

 そこで、市場はIBMだけでなく、他のメーカーも自分の強いグローバル市場を開拓するだろう(例えばキャノンやゼロックスはコピヤーとコピー用紙をますます売ることをめざして)。だが、メーカーが存立し得る市場の大きさは数社である。

経済成長だけではワーキング・プーアはなくならない

 ユニクロは若い人の高級感と安さを当てて市場を見つけ出した。だが、例えばレナウンは高くても高級感と、それを裏打ちするシャツの色が欲しいために工場をイタリアに置いている(工場は合弁会社か)。たとえ高価でも買う人はいる。
 
 お年寄りを大事にしてきた日本の文化を取り戻さなくては、美しい国は実現するはずがない。
韓国、東南アジア諸国ではお年寄りを大事にする気風がそのまま残っている。フィリッピンとの間ではヘルパー受け入れ協定を結んだ。あちらは研修で一生懸命に日本文化を学んで味噌汁の作り方さえマスターしようと努力している。それに年寄りを敬い大事にする心がある。だのに、なんで大卒の条件をつきつけるなかわからない。
 
 日本では昔は働けばそれなりの成功報酬が得られたのに、いまは得られずに、ワーキング・プーアが増えている。大企業で働く人々との格差は広がるばかりだ。全国約3400店のネットカフェ難民といわれる人々は5400人ということが厚生労働省の初の調査でわかったと報道されている。この人たちは大部分が20代だそうだが、50代の人々にもひろがっているという。企業たるものはSCR(Social Corporate Responsibility=企業としての社会的責任)があるのだから、何でもかでも成長と利益追求のためにパートを増やして、人件費を節減しようとするのはおかしい。歯止めの法制化が必要なのではないか。20年、10年前にくらべてこれらの人々の労働内容ははるかに複雑、高級化しているのだ。

 希望なくして、また自然そのままの海岸線なくして何が経済成長かわからない。
by burari-skuri | 2007-08-10 20:10 | 論点