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介護の現実を描きます。ITトピックスをお知らせします。旅と歴史を描いた私のHP「日本ぶらり歴史の旅」(英文もつくってあります)http://www.ab.auone-net.jp/~nut/にもぜひアクセスしてください。


by burari-skuri

悠一郎の介護メモ 15 幸子、食べものを認識せず胃ろうの手術を受ける

過去1週間食事をせず点滴で

 幸子はその病院に入院以来、医師、看護師、栄養士、介護士が一体となってこれ以上できないほどの介護を受けながら暮らしていますが、本人は日ごろから人様に気を配る性格です。
デイ・サービスやショート・ステイサービスに行ってても、いつも感謝、感謝の気持ちは変わらず、いつもニコニコして職員の仕事を手伝ったり、言葉をかけるものですから、職員から喜ばれ励みになると聞かされています。両親からそういう昔の教育を受けたのでした。この病院でも同様です。

 院長先生も自ら電話で様子を伝えてくださっていますので、安心です。ですが、幸子の認知症はアルツハイマー型で、末期にさしかかかっているものですから、いかんせん幸子の食べものを認識する機能は日に日に弱くなって、とうとう1日に1食も食事のとき口を開かなくなってしまいました。

 そこで点滴で栄養を摂取するほかなくなったのです。初めは静脈から点滴ですが、そのうちあちこちの血管が青く膨れ上がり、痛々しく見えるようになるのはよく多くの病院で見られますね。栄養を本格的に摂取するには、胃ろう(婁)の手術ということになります。いまは医術が進歩して知り合いのお医者さんに意見を聞くと、みんな「それはよいことだ」と答えます。手術は内視鏡によって行われ、短時間で済むということですが、高度の技術を駆使し、専門の病院で行われます。ですからその間、そこへ入院ということになります。

 悠一郎はギックリ腰で老いと闘いながら、日一日と骨の痛みに耐えていますが、6月7日、ようやく骨の痛みに耐えながら、幸子と面会できるようになりましたので、公子と待ち合わせて面会に行ってきました。公子は月、火、水、木と毎日母親のために様子を見に行ってくれました。公子の存在は絶大の価値があります。もし公子がいなかったら、今日までの在宅介護はできなかったでしょう。ですが、もう限界にきていました。老健のEB介護施設への診療情報提供書のなかで主治医のY先生は、「ご家族が疲弊してきているので、何卒お受け入れをご検討ください」と書いてくださいました。そしてその老健が今度のユニークなケアをしてくれる都近県の病院を紹介してくださったのでした。無理に無理を重ねてきた公子は、よくここまで介護をマスターしたものだとあちこちの施設の職員から言われます。

アルツハイマー末期一段と進み、痛々しい

 悠一郎がデイ・サービスへ幸子を送り出すときは、「お父さん」と表現できなくても、安心と不安がまざった表情をしていて、夕方帰ってくるときには元気になっていました。参加型のこのデイ・サービスをしてくれる介護施設へはユニークなケアをしてくれる都近県の病院へ入院する前の日まで通ったのですが、入院の前日家まで送ってくださった二人の職員は泣きそうな顔をしていました。
 
 悠一郎が胃ろう手術をしてくださった病院へ着いたときの幸子の様子は、目は遠い遠いほうを見つめ、ベッドにはもち肌の色白のお人形さんが横たわっているように見えました。静脈はあちこちはれあがり、より多くの栄養を送るには中心静脈からということになり、胃ろうの内視鏡手術前には中心静脈にから点滴となりました。大たい骨のつけねに針をさすのです。7日は胃ろうの手術も終わっていました。上にも書いたように、医学の進歩で、知り合いの先生に意見を聞くと、みんな胃ろう手術を受けたほうがいいとおっしゃいます。ただ、胃ろうの手術は高度の技術がいるので、専門の病院へ長くて1週間ぐらい移らなくてはなりませんでした。ここでもお医者さん、看護師、介護士の方々はよく世話をしてくださり、声かけをしてくださいました。

 内視鏡がすんなり喉を通るかどうかが心配でした。ですが、うまい具合に喉を通すことに成功し、その際にくわえるマウスピースのあとが口のまわりに痛々しくついていたそうです。「なので、お父さんはショックかもしれないわ」と聞いていましたが、一夜にしてきれいになっていました。「お母さん、よかったね」というと、別世界の遠い遠いところを見つめた顔が目の前に横たわっています。

 6月7日は退院し、元の病院へ帰りました。帰ったとき、幸子は安心したいい表情に変わり、エレベーターにのるとき、「済みません」と礼を述べました。感謝、感謝の気持ちからでしょう。


内視鏡胃ろう手術のとき、ガンが発見される

 胃ろう手術のとき、進行性のガンが発見されました。先生がおっしゃるには、治療すると寝る子を起こすようなもので、ガンの位置が下のほうで、胃ろうから離れたところにあり、胃腸は丈夫なのだから様子をみるほかないということです。幸い胃ろう手術の結果は順調で、入浴もできていますし、公子や姉妹が伊豆から面会に行ったときは、胃ろう効果が現れ意識がはっきりしていて、それぞれの名前を呼んだりしました。姉妹たちは、面会に行ってよかったと言っています。
 

 
by burari-skuri | 2007-06-29 20:00 | 介護・老い